原家の旧母屋が移築・復原展示されている川崎市立日本民家園では
企画展「二足のわらじはなぜわらじ?-ことわざになった道具考-」が
開催されています。
数多くのことわざの中には、様々な道具や建築に関係する言葉が使われています。
今回の企画展では、ことわざを通して昔の道具や暮らしをわかりやすく紹介しています。
例えば今回の企画展の名前にもある「二足のわらじ」
これは「二足の草鞋(わらじ)を履く」ということわざを省略したもので、
一人の人間が二足の草鞋を同時に履くことはできないことから、
同じ人が普通は両立しないような仕事を一人ですることを言います。
このことわざは、賭博禁止令が出ていた江戸時代に
取り締まりの対象であるはずの博徒(ばくと:賭博で生計を立てる人)が
取り締まる側の捕吏(ほり:罪人を取り締まる役人)の十手を預かり
別の博徒を取り締まる役割を兼ねていたことから生まれました。
「二つの仕事を両立させて活躍している」という
プラスのイメージで使われることも多い一方で
「両立が難しいことに手を出して結局どっちつかずになる」という
マイナスのイメージを持つこともある、大変面白いことわざの1つです。
今回の企画展に合わせて発刊された「日本民家園だよりVol.94」では
「建築とことわざ」と題し、建築関係の言葉が用いられたことわざを
その由来と共に数多く紹介しています。
その中いくつかをご紹介します!
・「家」は狭かれ心は広かれ
・・・質素を良しとする暮らし向きのこと。
・「敷居」が高い
・・・不義理や面目のないなどの理由で相手の家へ行きにくい、という心理状態。
・「風呂」の容赦は水になる
・・・薪で焚く風呂は入浴を遠慮し合って時間が経つと湯が冷めてしまうことから、
遠慮も時には度を越してはならないという教訓。
・「鑿(のみ)」と言わば「鎚(つち)」
・・・鑿を渡すよう指示した親方に弟子が鎚も併せて用意することから、
万事にすべて気が利くこと。
※木材の接合部を加工する際、鑿と鎚はセットで使われます。
このように見てみると、昔の生活の知恵や風俗、習慣等
様々な要素がことわざとなって現代の私たちにも受け継がれているのが分かりますね。
ちなみに、GATE SQUARE 小杉陣屋町(以下”GS”)には
明治期の建築技法と職人の技を今に伝える原家旧母屋時代の史産で
これらことわざにも出てくる数多くの建材が随所に継承されています。
こちらは原家で実際に使われていた蔵の扉です。
蔵そのものは母屋が民家園に移築された際に取り壊されましたが
扉の1つはTHE KAHALA 小杉陣屋町の一部として生まれ変わり
当時の面影を今に伝えています。
蔵の基礎石には江戸城、小田原城等の建築物にも用いられた
「小松石」という石材が使われていましたが、
この小松石もGSの各所に継承されています。
GSの顔とも言うべき陣屋門の前の館銘板を始めギャラリーコーナーの下部、
分譲棟(THE RESIDENCE 小杉陣屋町)共用廊下の景石にも蔵の基礎石を活用しており、
ノミで彫った跡などから当時の職人たちの加工技術の高さが伺えます。
分譲棟(THE RESIDENCE 小杉陣屋町)側の北側角地には
2020年の植栽整備の際に原家より寄贈した旧母屋の瓦や
街道沿いに立てていた石碑をシラカシの木の周辺に配しています。
(*当日の植栽整備工事の詳細はコチラ)
今回紹介されていることわざと関連付けながら
GSの随所に継承、活用されている旧母屋時代の史産を
より身近に感じていただければ幸いです。
民家園だよりは弊社事務所エントランスのチラシスタンドにも設置しておりますので
ご興味のある方は是非お手に取ってご覧になってみてください♪
企画展示「二足のわらじはなぜわらじ?-ことわざになった道具考-」
期 間:2021年7月1日(木)~11月30日(火)
時 間:9:30~17:00 ※11月は9:30~16:30
解 説:民家園職員による企画展示解説
<一般向け>7/17(土)、8/28(土)、9/11(土)、10/9(土)、11/14(日)
各日14:00~(約20分)
<子供向け>7/31(土)、8/14(土)、8/21(土)、9/25(土)
10/11(月)、10/23(土)、11/28(日)
各日14:00~(約20分)
場 所:本館企画展示室
日本民家園
(神奈川県川崎市多摩区枡形7-1-1)
<アクセス>
鉄道
・小田急線「向ヶ丘遊園駅」南口から徒歩13分
・JR南武線「登戸駅」生田緑地口から徒歩25分
バス
・小田急線「向ヶ丘遊園駅」南口バスターミナルより
川崎市バス【溝19】おし沼経由「溝口駅南口」行き乗車
⇒「生田緑地入口」下車、徒歩3分
・南武線「武蔵溝ノ口駅」、東急田園都市線「溝ノ口駅」南口バスロータリーより
川崎市バス【溝19】「生田緑地入口」経由「向丘遊園駅南口」行き乗車
⇒「生田緑地入口」下車、徒歩3分